太陽のように無邪気に笑う君。

いつも素直な君。

ひとつのモノを真っ直ぐ見つめる真剣な君。



全部。



可愛いと思う。




・・・・・・愛しいと、思うんだ。





ゆっくりいこう。





今日もボクはいつもの碁会所で碁を打っている。

「塔矢先生!今日もちょっと指導碁お願いしますよ。」
「もー・・・鈴木さん、先生はやめてくださいよ。」

みんな、ボクのことを先生と呼ぶ。

まだプロじゃないのに。

「そんなこと言ってぇ。アキラ君ならプロ試験なんざ楽勝だろーに。」
「川村さんまでっ」

まったく。ちょっと困ってしまうよ。

- - - カランカラン・・・

あ。誰か来たみたいだ。

「いらっしゃい。あなたココは初めて?」
「はい。そうです。」

あれ。

・・・この声って・・・。

「はい、じゃあ500円ね。」

・・・さんだ。

・・・ど、どうしよう。

・・・な、なんか顔が熱い・・・。

とりあえず、ボクは目を合わさないように鈴木さんと話を続けた。

「あれっ!?塔矢くん!?」

・・・見つかってしまった。

「ん?アキラ先生。知り合いですか?」
「あ、ああ、はい。クラスメイトのさんです。」
「はじめましてー。です。」
「まぁ、可愛い子ねぇ。」

・・・確かに、すごく可愛い。

いつもは制服だけど、今日は私服だから、一段と可愛く見える。

真っ黒でサラサラな髪は、耳の下あたりでふたつに結ばれている。

真っ白な肌に、ピンクの小花柄のノースリーブワンピース。

・・・だめだ。眩しくて、これ以上見てられないよ。

「・・・あ・・と・・・さんは今日は何でココに?」

話をそらしてみる。

「えっとね。塔矢くんと打ちたいなーって思って塔矢くんち行ったんだけどいなくて。
そしたら、ココにいるって聞いたから、来ちゃった!」

来ちゃった!・・・ってそんな笑顔で言わないで下さい。

ああもう・・・。

「そ・・・れじゃぁ、い、一局打とうか。」
「うん。お願いします。」

・・・可愛い。

「アキラ先生・・・私の指導・・・」
「鈴木さん、今日は見逃してあげなさいよ。」

・・・鈴木さんと西野さんが何か言ってたけど、よく聞こえなかった。





「・・・はぁ。塔矢くん強いよー。全然ダメだぁ。」

疲れたのか、さんはイスの背もたれに寄りかかり、大きく伸びをした。

すごく真剣にやっていたから少し頬が赤い。

・・・それもまたどうしようもなく、可愛い。

「ふー・・・。ねぇ、塔矢くん。」
「はい?」
「私、どこがダメだったかなー。
塔矢くんに勝つ気でかなり気合い入れてたんだけど。」
「・・・・・・。」
ちゃん、悪いけどあんたの力じゃアキラ先生には・・・」
「っ鈴木さん!」

慌てて止めたけど・・・

「それでもいいんです!
どんなに弱くても、気合いがあればいつか必ず勝てるんだから!」

・・・驚いた。

たいていの人は、かなわない、で終わらせてしまうけど

君は、違った。

真剣に、ボクに追いつこうとしていた。

「・・・そうだね・・・さん、けっこういい手を打ってたんだけど
ココ。ココがちょっと痛かったね。こっちに打てば・・・」
「・・・・・・」

碁盤を指さしつつ、チラッとさんを見る。

・・・対局中と同じように、真剣な眼差しで、碁盤を見つめていた。

「そっかぁー・・・。んー・・・私もまだまだだね。」
「「あ、でも、ココ」」

ふたりで、声と動きが同時になった。

同じトコロを指したため、手が触れた。

「あ。ごめんね。」
「ごっ、ごめん・・・」

慌てて手を離したけど・・・

・・・もう、だめだ。

今のボクの顔はきっとすごい真っ赤で。

きっと誰が見ても気持ちがわかってしまうくらい真っ赤だ。

「塔矢くん?」

まわりのお客さん達は思い思いに話をしたり、打ったりしていた。
・・・言うしかない。

「・・・さん。」
「はい?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・塔矢くん?」
「・・・・・・・・・・・・ボクは・・・」
「・・・・・・・・・・・・。」

顔を上げて、ボクは言った。

「・・・ボクは、さんが好きです。」
「・・・・・・。」
「・・・・・・・・・・・・。」

・・・どれくらい、経っただろう。

まるでボクのまわりだけ時間が止まったかのように、静かだった。

「・・・。」
「・・・私も」

えっ!?

「私も塔矢くん好きだよ?でもいきなりどうしたの?」

・・・どうやらさんは意味を取り違えたみたいだ。

なんかすごく恥ずかしかったけど・・・

・・・さんの笑顔ですべて吹き飛んだ。

「ははっ。そっかよかった。じゃあ、続きいこうか。」
「うん?」


君は。

すごくのんびり屋で。

悪く言うと鈍いけど。

でも、そんなところも大好きなんだ。


・・・いいや。

ゆっくりいこう。

焦らないで、ゆっくりゆっくりいこう。

ボクの気持ちは

ずっとかわらないから。




















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アキラくん語ってます。
初語りだったんですけど、難しいですね。
3人称より難しいかもしれません;
や、どれで書いてもヘッポコなのには変わりないんですけどっ。
でも、なんとなく好きです。コレ。
ほのぼのもいいですね〜
てかもーずっと前からコレ書きたかったんで、書けて満足♪
もーいいです。
なんか変なのは気にしないで下さい。
いつものことですから。(謎)
それでは!ココまで読んで下さって本当にありがとうございました!
次も頑張ります!

020405

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