「君が好きだよ。」

このたった一言を言葉にするのに

僕がどれだけ緊張したか 君は知らないだろうね。


「君が好きだよ。」

このたった一言を言葉にしてから

君の態度は変わってしまったね。


君は

僕を避けるようになってしまったね。





sky blue





「みんなー!そろそろ休憩だよー!」

そう言ってドリンクを抱えてきたのは
青学男子テニス部のマネージャーだ。

「疲れたにゃーー」
「ちょー英二っ!暑いから抱きつくのやめてー!!」
「にゃーの匂いは癒されるにゃ〜」

後ろから菊丸に抱きつかれ、じたばたする
そんなをよそに、菊丸はの髪に顔を埋め、その香りを楽しんでいた。

「菊丸先輩。先輩、嫌がってるじゃないスか。」

リョーマが菊丸の顔との頭の間にラケットを突っ込んだ。

「なんだよ、おチビのくせに〜っ!」
「関係ないっス。」

ラケットを持った手と反対の手で
リョーマはちょっと不機嫌そうに帽子をかぶり直した。

「河村先輩〜〜!よろしくっス〜〜〜!」

今度は桃城がそう言うと、河村にラケットを投げた。

「・・・たっ・・・
たとえちゃんと幼なじみであっても、許し難い!
離れろ!!!バーーーーーーニングッ!!!」

男子テニス部の日常はこんな感じである。
そんなに美少女とは言えないが、一生懸命で優しい
皆、どこか惹かれていた。

「もー・・・みんな面白いんだからー・・・」

状況が判っていないらしく、のんきに笑う

「そういえば先輩。そのドリンクは誰のなんスか?」

まだゴタゴタしている先輩達の輪の中から抜けてきたリョーマが言った。
それを聞き、さっきまで晴れていたの顔が急に曇った。

「・・・」

そのドリンクは不二のものである。
『あんなこと』があったから、どうしても行きにくい。
ここのところずっと、避けられる限り不二を避けていた。
その結果、は不二に渡すドリンクを、つい、最後に残してしまったのだ。

「・・・・・・」

すこしためらいつつも、足を進ませた。

「不二くん、ドリンク・・・。」

笑顔で話しかけてはいるが、声も表情もぎこちなかった。
不二の反応が気になって仕方なかった。

「ああ。ありがとう。」

かなり緊張しているをよそに、いつもとかわらない笑顔で答える不二。
はそんな不二に対して、なにか複雑な気持ちを感じた。





・・・不二くんは・・・何も思わないのかな。

私はこんなに・・・

あなたを意識しちゃってるのに・・・。










『あんなこと』

それは、いつものように部活が終わり、皆が帰った後の部室での出来事だった。
はタオルなどの洗濯物を畳んでいた。

「ふー・・・そろそろ帰ろっかなぁ。」

そう言って、立ったとき。

がちゃ。

扉が開いた。

「・・・不二くん??びっくりした・・・帰ったんじゃなかったの?」
「ああ。帰ろうと思ったんだけど、ちょっと忘れものしちゃって。」
「ふぅん・・・何忘れたの?」
。」

不二はにっこりと即答した。
の頭の中にその言葉がぐるぐると巡り始めた。

え?え?え?え?

私を忘れた???

「よ、よくわかんないんだけど・・・」
「んー・・・だから、を忘れたの。」
「・・・???」

それでもよくわからないは首を傾げて困ったように不二を見つめた。
不二はちょっと困ったような表情に一瞬なったが、
すぐにいつもの笑顔になり、こう言った。

「君が好きだよ。
ずっと、ずっと前から、君が好きだよ。」

唖然とする

は?

不二くんが、私を?

嘘でしょ??

そんなわけない。

不二くんみたいなもてる人が、私なんか好きになるわけないもん。

「じょ、冗談やめてよ。私もう、行くから!」
「冗談じゃない。」

部室から出ていこうとするを今度は笑顔ではなくて、真剣な表情で見つめた。

「・・・っ、じゃ、じゃあね!」

は不二の視線を振り切るように出ていった。











それからもう一週間。

不二の顔を見ると、それを思い出し恥ずかしくなってしまうは、
不二を出来る限り避け続けてきた。





「はー・・・なんで私はあそこで逃げちゃったんだろー・・・バカだぁ・・・。」

ため息をつきつつ、干してあるタオル類を取り込んでいく。

。」
「あ、竜崎先生・・・。」
「ちょっと、不二を探してきてくれないか。用があったんじゃがいなくてな。」
「えっ・・・!」
「それじゃ、よろしく。」
「えっ、ちょ、せ・・・!」

抵抗しようとするに気付かないのか、さっさと去ってしまった。

「・・・先生に悪気はないと思うけど、なんでこんな時に限って・・・。」

とぼとぼと、歩き出した。





しばらく歩いていると、木陰に不二の姿が見えた。

(・・・不二くん、寝てる・・・)

じっと不二を見る。

(うわ・・・髪サラサラだー・・・この色ってやっぱ地毛なのかな・・・
不二くんが色抜いたりするとは思えないし、染めたようにも見えないし・・・
うわ・・・顔もなんでこんなキレイなんだろー・・・
私より絶対キレイだ。肌なんかすごい・・・)

寝ていると油断して、不二に近づいた。
その時。

「ひゃあっ!!!」

不二がの腕を掴んだ。

「・・・っ不二くん寝てたんじゃ・・・!」
「誰も寝てたなんて言ってないよ。」
「っ・・・」

しっかりの腕を掴み、にっこりと笑顔で答える不二。
は騙された、と思った。

「・・・それより、どうして僕を避けてるの?」

笑顔で言われ、思わず鳥肌が立つ。

「・・・そ・・・れは・・・」

不二の視線が、怖くて、・・・でも、寂しそうで、は見ていられなくなり
視線を地面に落とす。

「・・・・・・・・・」
「・・・あの時聞けなかった君の気持ちが知りたい。」
「・・・・・・・・・・・・・・・」

の腕を掴む不二の力が強くなった。

「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・は・・・ずかしくて・・・」

やっとの思いで口を開き、消え入りそうな声で答える。

「・・・不二くんに・・・その・・・す、すき・・・って言われて・・・
恥ずかしくて、顔・・・あわせられなくて・・・」
「・・・・・・どういうこと?」

意味がよくわからない、という表情で聞き返す不二。
すると、の顔がどんどん赤くなった。

「・・・・・・っ不二くんが好きなの!」

真っ赤になり、瞳を固く閉じてうつむく
そんなを見て、不二は優しく微笑み、木にもたれかかっていた自分の体を起こした。

「・・・・・・・・・・・・」





長い、長い、沈黙。

ただふれているだけだけど

体温以外にも、何かあたたかいものを感じる、キス。





唇だけ離し、額はお互いつけたままで、不二が囁いた。

「・・・・・・やっと言ってくれたね。」
「・・・へっ!?」
「僕のこと好き、って。」
「ふっ!不二くん私の気持ち気付いて・・・!」
「だってわかりやすいし。」

ちょっと意地悪そうな笑顔で言われた。
それを見て、顔がもっと熱くなる。

「も・・・もぉっ!!それはどーいう意味なのさぁ!!」

拳を作り、両手を軽く挙げ、不二に殴りかかろうとする
しかし不二は軽々と手首を掴み、止めてしまった。
そして視点が合わないくらい近くまでの顔を引き寄せる。

「・・・素直で、可愛いってコトだよ。」

・・・この人はなんでこんな恥ずかしいセリフを普通に言ってのけるんだろう。

言った本人より、言われた方が赤くなる。
すると不二はまたに軽く口付ける。

「・・・赤くなったも可愛いね。」
「・・・っ・・・もぉっ!!恥ずかしすぎ!!
・・・・・・・・・・・・・・・・でも・・・」

不二の胸に、自分の頭を預ける

「・・・そんな不二くんが好き・・・。」





実はこの時も、

僕はすごく緊張してたんだ。

・・・心臓の鼓動

聞こえちゃったかな。





・・・ま、いいか。








fine.

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ごめんなさい。
長すぎです。
黒不二目指して失敗しました。
ではさようなら。(逃亡

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