僕らの王様









「なぁー。王様ゲームやんない?」

にこにこと嬉しそうにやってきたのは進藤ヒカル。
と同い年で同期の院生であり、密かにに想いを寄せていた。

「ふたりだけでやるの?」

ヒカルがひとりだったので、聴いてみた。
しかし返事はヒカルからではなく意外なところから返ってくる。

「4人でやろーぜ。」
「そっちの方が楽しいよな。」

和谷義高、伊角慎一郎。
彼らも院生で、ヒカルと同じくに好意を持っていた。
故にちょうど今研修室に来た二人は、ヒカルの誘いに乗ろうとしていたを見て
危機を感じ、わざと割り込んできたのだった。

「四人かぁ・・・面白そうだね!やろー!」

とびきりの笑顔。
特別美少女ではないだったが、この素直な笑顔だけは見る者を魅了した。
もちろん、3人組もこの笑顔にハマってしまったのだ。

(((か・・・・・かわいい・・・・・!!)))










- ヒカルside -

・・・なんだよ伊角さん達・・・
せっかく二分の一の確率で王様になれてしかも王様の言う事は絶対だから
オレが王様を引いたら、にオレのこと好きになってって・・・

あーもー!何言ってんだ!?オレ!

とにかくなんとしてでも王様にならなきゃ!!





「・・・ヒカル?顔赤いけど大丈夫?」

自分より背の高いに顔を覗かれ、ますます赤くなる。

「なっ!なんでもねーよ!大丈夫大丈夫!
それよりそろそろ始めよーぜ!」





- 和谷side -

まったく進藤もに関しては抜け目ねーんだなぁ・・・
アレは絶対ふたりでやって王様を引いて、に付き合ってもらおうとか考えてたぜ。

冗談じゃねぇぜ。
は絶対渡さない。

俺だって、が好きだ。
に好きになって欲しい。

だから、コレで王様を引いて、に言う。
俺はが好きなんだ って。





「・・・和谷くん?なんか難しい顔してるけど、だいじょぶ?」

上目遣いでに見つめられ、どきっとする。

「へ、平気だよ!ちょっと今日の対局の事考えてただけ
さ、始めようぜ!」





- 伊角side -

進藤も和谷も積極的だな・・・
ふたりはちゃんと年が近いから気軽に話せるけど、俺はだいぶ離れてる・・・

っと 何ネガティブになってるんだよ。
こんなチャンスを逃すわけには行かない。

これで王様を引いて、ちゃんと話すきっかけを作らなければ・・・





「・・・伊角さん?なんかすごい冷や汗かいてるけど、大丈夫ですか?」

いつもはほとんど話さないに話しかけられ、喜びで溢れる。

「あ、ああ。大丈夫だ。ありがとう。
さぁ、そろそろ始めないか。」










「じゃあ、王様はこの冠のマークね。」

冠のマークが描かれた割り箸を掲げてが言った。
そして自分の左手に持った残りの3本に混ぜ、4人の輪の中心に差し出した。
先ほどじゃんけんで決めた順番の通りに割り箸を掴んでいく。

「みんな掴んだねー?じゃあせーので引くよ?」
「「「「せーの!」」」」

の左手に包まれた割り箸達を、4人は一斉に抜いた。










- ヒカルside -

・・・・やば・・・・だいぶ緊張してるよ、オレ。
王様は引けたかな・・・

よし、見るぞ・・・!





- 和谷side -

なんか院生試験と同じくらい緊張してんだけど・・・
こんなに緊張する王様ゲームは初めてだ・・・

・・・さぁ、王様か!?





- 伊角side -

な、なんか胃が痛くなってきた・・・王様ゲームでこんなに緊張するなんて・・・
お、王様は引けただろうか・・・4分の1の確率だ・・・

・・・ど、どうだ・・・!?










「みんな確認したね?じゃあ、いくよ?」





「「「「王様だーれだ!」」」」





「はい!」





そういって手を高く掲げたのは
だった。










- ヒカルside -

かよ!?

・・・まあ伊角さんや和谷に行くより良いよな・・・

でもよく考えると、これでが誰を選ぶかによってが誰を好きかがわかる・・・!?

・・・・嘘だろ!?

・・・・・・・・・・

オレを選ぶよな・・・!?





- 和谷side -

か・・・

なんか 来た って感じだな・・・

これでが誰を一番気に入ってるか分かるってコトか・・・

やべぇ、緊張してきた・・・

・・・・・・・・・・

俺を選べよ・・・!





- 伊角side -

ちゃん・・・?

和谷達にならなかったのはいいけど・・・

ちゃんが指名したヤツが、ちゃんが最も好意を寄せているヤツって考えてもいいよな・・・

・・・だ、誰を選ぶんだ・・・!?

・・・・・・ちゃん・・・

俺を選んでくれるか・・・!?










「うーん・・・どうしよっかなぁ・・・」

顎に手を当てて悩む
対局の時と同じ、真剣に悩んでいる時のクセだ。

(((誰を選ぶんだ・・・!?)))

3人は真剣な表情で悩むを見つめた。

「よし決めた!!」

ぽんっと手を一叩きして、顔を上げた。





が・・・

「おはよー!」
「おはよう〜」
「あっ、奈瀬ちゃん、フク、おはよー!」

(((な・・・・なんてタイミング・・・!)))

「あら?なにこの3人は。」
「今ね、王様ゲームやってたのー。」
「へぇ・・・面白そうね。」
「奈瀬ちゃんもやる?」
「やるやる!」
「じゃあ、最初からね!」

(((えっ!!??)))

「な、なぁ、、今、なんて言った・・・?」

呆然とする和谷。

「ん?最初からやろうって。」

けろっと答える

「えっ、じゃあ俺達とやってたのはどーすんのさー!?」

最初からなんて嫌だと言わんばかりに力説するヒカル。

「人数多い方が楽しいよ?」

それもけろっと答える。

「そ、それはそうだけど・・・」

反論しようとしつつも、の言い分を認めそうな伊角。

「じゃあいいじゃん!」

すでに、6人でやる事が決定してしまった。

((伊角さん!!))

恨みがましい目で伊角を睨みつけるヒカルと和谷。
伊角は申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

(わ・・・悪い・・・!)

「さ、今度は奈瀬ちゃんとフクも混ぜてやろっ!」

いつもの、笑顔。

(((・・・・・・・・・・・・・)))





こんなに素直な笑顔をされたら、どうしようもない。



僕らには君が笑顔でいることが一番だから



いまはやっぱり従うことにしよう。





僕らの王様の君に










fine.

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院生(今はみんなプロですが・・・;)で逆ハーのはずでした。
・・・逆ハーになってませんね。普通に。
ごめんなさい。
しかもなんか伊角さん弱々しいです。
・・・ごめんなさい。

ちなみにVSと逆ハーの違いがいまいちわかってませんが、
私の中での違いはVSが一対一の闘いで、逆ハーは多人数・・・となっております。

それでは、ここまで読んで下さってありがとうございました。
次回はもっとちゃんとしたモノを書けるよう頑張ります!

020913

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