「よ、っ」 ぺしっと『王将』と書かれた扇子での頭をはたいて来たのは、加賀鉄男。 将棋部の部長である。 きらい、きらい、きらい。・・・すき。 「なんなのよ加賀!!」 「あ?」 「朝っぱらから頭叩かないでよ!!」 「おー、そうかそうか。脳細胞が死んじまうもんなぁ。」 「それはどーゆー意味よ!!!」 毎日毎日、ケンカが絶えない。 最初は何だ??と思って集まってきたギャラリー達も 今はすっかり慣れてしまい、全く気にしていない。 「おー。今朝もやってるねぇ。」 そこへ来たのはの親友・である。 「!のんきなコト言ってないで、なんとかして!!」 「さぁ??じゃ、アタシは今日までの宿題をやりますんでね。 どーぞおふたりで、楽しんで下さい♪」 楽しそうにそっぽを向いてしまう。 の怒りは相当なモノに達していた。 「あーーー!!!あったま来る!!!」 「落ち着け。」 は紙パックのジュースをずず・・と音を立てて飲む。 「もよ。助けてくれたっていいじゃんかぁ!!」 手に持っていた箸を、お弁当のおかずのハンバーグに思いっきり突き刺す。 「(怖っ)でもさ、なんだかんだ言ってけっこう・・・」 「もしよかったら・・・」 告白ではおきまり語句が聞こえ、反射的に聞こえた方向を向くと。 その先には、年下と思われる女のコと・・・ ・・・・加賀がいた。 「なにげに加賀ってもてるらしーよ。」 「・・・は?」 まさか、という表情でを見る。 「だから、加賀ってもてるんだって。」 「はんっ。ケチで自己中で乱暴でタバコ臭い加賀のどーこが・・・」 ふと弁当箱をみると、エビフライがなくなっていた。 「んー・・・なかなかいける。」 衣と油の付いた自分の手を舐めているのは、加賀である。 「加賀!何やってんのよ。」 「よっ。」 「よっ。じゃなくて!!!!!!私のエビフライ!!!」 「なに?じゃあ、やろーか。」 「は?」 の口に自分の唇を近づけようとする加賀。 驚いたは真っ赤になり、加賀を突き放す。 「・・・ばっかじゃないの!?」 「だって、欲しそうにしてただろ?」 「・・・あ゛〜〜〜〜〜〜〜も〜〜〜〜〜〜〜〜」 急いで弁当箱にふたをして、風呂敷で包み、の腕を引っ張った。 「行こっ。」 「ちょ、ちょっとちょっと、!?」 引きずられそうになりながらはについていった。 「・・・・・・」 加賀はじっと、そのうしろ姿を見えなくなるまで追った。 「・・・可愛いヤツ・・・・。」 軽く笑いながら扇子を取り出してパタパタ扇ぎながらそうつぶやいた。 「加賀!!!!!!!!!」 屋上から怒鳴り声が聞こえる。 今日のの額には青筋が立っていた。 「今日という今日は許さないわ。 せっかく新しい上履きだったのに踏むなんて許せない!!!」 「だって結局最後は汚れるんだから別にいーだろが。」 「よくない!!」 「いーんだよ。ただ汚れる時期が早かっただけなんだし。」 「よくないったらよくないの!!」 「頑固だなー、おまえも。」 「うるさいっ!!!」 でも、怒鳴ってる途中で、ふと、虚しくなった。 殴ろうとしていたから身を守るために構えた加賀も異変に気付いた。 「・・・・・・。」 うつむいて見えないの顔から一滴の水が、垂れた。 「もー・・・なんでそんなにイジワルばっかりするのー・・・?」 涙が出てくる。 どんなにこすっても、目を閉じても、止めどなく流れ出てくる。 「・・・」 「っ・・・きらい。 きらい、きらい、きらい。加賀なんてだいっきらい!!」 耐えきれず、走り出す。 「・・・! ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 加賀は、驚きを隠せなかった。 「おはよー。」 「あ・・・おはよ、・・・。」 「どーしたん?なんか元気ないよ??」 「そんなことないよー。元気元気!」 心配させたくないと思い、精一杯の元気で答える。 「そう?そう言えば、加賀もなんか今日変だよ。」 「・・・え・・・?」 「いつもはにちょっかい出してくるのに、今日はおとなしいじゃない。」 はきのうのことが思い出される。 (・・・なんか・・・嫌いって言った自分がショックなのは・・・なんで?) 「教室にもいないしねェ。 まぁでも、あんなに嫌がってたし、よかったね。。」 (・・・そうだよ。嫌だったんだからいまは嬉しいはずなのに・・・) 目の前が霞んでくる。 「・・・?」 「・・・っ・・・ごめ・・な・でも・・・ない・・・」 「な、なんでもないって、泣くってコトはなんでもなくないでしょう??」 の頭を撫でる。 「どーした?言ってみ?ん?」 「・・・。」 「・・・・・・?」 目を擦って、口を開く。 きのうのことを、すべて話した。 「・・・それはさぁ・・・が加賀を好きってコトなんじゃない?」 「・・・へ!?」 「じゃあ聞くよ?加賀のこと、嫌い?」 「・・・・・・・・・・・・・・・。」 その質問に黙ってしまう。 その様子を見て、微笑む。 「肯定しない・・・ってコトは、嫌いじゃないんだよ。」 「・・・。」 「それにね、加賀といるときの、すごく楽しそうだった。」 「・・・。」 私は、加賀がきらいなの? ・・・加賀がすき・・・なの? 「お。ウワサをすれば・・・。」 顔をあげてみれば、加賀が教室に入ってきた。 加賀はそのままの席まで来る。 「ちょっといいか。」 「いや。」 ・・・また、やってしまった。 どうして、素直になれないんだろう。 「いいか。」 「いや。」 「いいな。」 「は!?」 加賀はの手首を掴み、ガタン、とイスを倒す勢いで引っ張る。 「ちょ・・・ちょっと加賀!!」 強引に連れて行かれるを見て、微笑む。 「・・・よかったじゃん。」 「加賀!加賀ってば!!!」 なにかおきたのか、と言わんばかりに側を通る生徒達が加賀とに視線をやる。 でも、いつものふたりか、と思い、みな、いままでしていた行動に戻る。 加賀は無言での腕をぐいぐい引っ張り、歩いていく。 その速さはいつもが歩く速さとは違い、は少し小走りになる。 「加賀!!痛いよ!!はなして!!」 の言葉を無視し、階段を上り、屋上へ繋がる扉を乱暴に開けた。 「か、加賀!もういいでしょ。は・・・」 ふっと目の前が暗くなると、加賀の鋭い瞳が、目の前にあった。 「んぅ・・・っ!!」 叫びたくても、叫べない。 息がしたくても、できない。 「んーーっ!!!」 苦しくなって、いまだ掴まれている右手とは反対の左手で、加賀の胸を叩く。 男である加賀にとっては、そんなもの、なにも効果がなかった。 「はぁっ・・・はぁっ・・・はぁ・・・」 やっと、加賀の唇・手の両方から解放された。 いままで小走りで来たせいと、長い長いキスで苦しくなったせいで、息が荒くなる。 そして、顔も、真っ赤に染まってくる。 何が起きたのか、いまいち掴めず、黙りこくる。 「・・・・・・・・・あーもー・・・嫌いとか言うなよ! なんか調子狂っちまうじゃねーか!」 相変わらず偉そうな態度に、いつも通り、ムカッと来てしまい、反論する。 しかし・・・ 「加賀だって!私のこと、き・・・きらいな・・・んでしょ・・・!」 言い終わる前に、また、涙ぐんでくる。 加賀に嫌われたくない。 そうだよ。 私は・・・加賀が・・・ 「はぁ!?いつ誰がそー言ったんだよ。」 「・・・いつもいじめるから。」 「・・・・・・。」 呆気にとられる加賀。 「・・・バーカ。・・・ったく気付けよ。 よくいるだろ?好きなヤツいじめるガキがよ。」 「・・・は?」 「・・・ホントにバカだな。」 「・・・しつれーね。」 真っ赤になり、ふてくされたようにそっぽを向くが可愛くて、 思わずの額に唇を落とす加賀。 「が好きなんだよ。」 「・・・・・・誰が?」 「・・・俺様が!」 「・・・・・・・・・よくわかんないんだけど・・・」 「・・・・・・はんっ、バッカでー。」 「なっ!そんなバカバカ言わなっ・・・」 いつも持っている、閉じた『王将』扇子の先をの口にあてる。 「・・・いいか、1回しかいわねーぞ。」 「・・・・・・。」 口を押さえられているために、頷いて答える。 「・・・俺は、が、好きだ。」 いつもと違う、本当に真剣な表情で言われ、は耳まで赤くなる。 ・・・目がそらせない。 暫しの沈黙の後、加賀はの口にあてていた扇子をそっと外してこう言った。 「おまえは?」 「・・・・・・・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・聞ーてんのかよ。」 「・・・・・・・・・・・・。」 は無言で加賀に抱きつく。 まさかがこんなコトをやるとは思っていなかったので、加賀の顔がほんのり、赤くなる。 「・・・きらい。 きらい、きらい、きらい。加賀なんてだいきらい・・・。」 「・・・・・・。」 「・・・・・・・・・・・・嘘。」 「は?」 「・・・すき。 すき、すき、すき。加賀なんてだいすき。」 ぎゅ・・っと加賀の背中に回した腕に力を込める。 「・・・おまえ、なんか日本語変。」 照れ隠しに、また、憎まれ口を叩く加賀。 「・・・う・るさいなぁー!!もー、なんでこんな時までそんなイヤミ言うの・・・」 真っ赤な顔で怒るがかわいすぎて、加賀も、ぎゅっと抱きしめる。 「・・・しょーがねェだろ。おまえがかわいすぎんだよ。」 「はぁ!?」 「・・・はぁ!?とはなんだ。」 「・・・・・・ごめん・・・。」 「・・・・・・・・・でも・・・・・・さんきゅ。」 加賀の胸はあったかくて。 鼓動が・・・ どきどきどきどき・・・ 私と同じくらい、速かった。 -------------------------------------------------- ちゃっちぃ。(滝汗) その割には長。 なんか加賀キャラが違ってきた気がします・・・ 加賀fanの方々、本当に申し訳ありません・・・。 これでも・・・加賀はかなり好きなんです。 和谷くんの次に大好きなんです。 てか1番の和谷くんを差し置いて、創作意欲をワキワキと(ハ?)沸き立ててくれるんです。 ごめんなさい。 まだまだ加賀夢ネタはいっぱいあるんで・・・ まだ書きますよ。 もっとちゃんとしたのを書けるように、がんばります・・・。 では、こんな駄文を最後まで読んで下さって、どうもありがとうございました。 20020404 * このままウィンドウを閉じて下さい * |