きのう降った雪が溶けるかのように暖かい、朝。 風邪注意報 「は・・・っくしゅんっ!」 力無くリビングのソファに横たわる私は鼻をずずっとすする。 ・・・私としたことが。風邪をひいてしまった。 きのう、加賀と雪の中に居たからだ・・・。 するとふと、きのうのコトが思い出される。 『 が、好きだ。』 『・・・・・・・・・・私も、加賀が好きだよ。』 ぼんっと顔が赤くなる。 ・・・これじゃあよけい熱が上がるじゃないの・・・。 気をそらそうと、脇の下に挟んでいる体温計へ目を移す。 「あ゛ーーー。まだ鳴らんのかね。このオンボロたいおんけぃめぇ〜〜・・・ 今は1秒で判るヤツもあるんらど〜〜・・・」 なんか、呂律がまわらない。 ・・・ずいぶん高い熱なのかもしれない。 ピピッ ・・・・・・。 ・・・・・・・・・何じゃこりゃ。 「・・・38.7。」 ・・・・・・こんな数値生まれて始めてみました。 ・・・・・・寝るに限る。 ・・・だるくて重い体をやっとで起こして、ふらふらと部屋に戻ろうとしたとき、ふと疑問が。 「・・・てか母さんきのうから2泊3日の出張だったわ・・・。 今日のご飯はあるのかしラ。きのうはずっと外食だったケド・・・ ・・・2泊3日と言うことは、今日も帰ってこられないっちゅーわけよね。」 よろけながらキッチンへ向かう。 いつもは軽々と開ける冷蔵庫の扉でさえ、今日は重く感じた。 「・・・・・・まーじーでーすーかー・・・」 冷蔵庫を開けても、何もない。 冷凍食品に期待をしてみたが、無駄だった。 「そーだ・・・たまには自炊しなさい言って出てったなあの人・・・。」 まさか私が風邪をひくとは思っていなかった母は、 食材費だけ置いて、出張先へ行ってしまったのだ。 「・・・あー・・・最悪ーーー・・・。 もー・・・お金はあるっていってもコンビニまで歩くのすら辛いしなー・・・ でもお腹すいたかもだしなー・・・」 やる気なさげにまたソファに転がる。 「・・・・・・・・・」 ぐぅぅぅぅ・・・・・ ・・・自分の体から発せられたものだと判っていても、なんだか恥ずかしくなった。 「・・・だめだ・・・こうなったら本気で寝るしかない。 寝てれば空腹なんて気にならないはず!!!!」 どっこいしょ、と立ったその時だった。 ピンポーーン・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・出るのめんどくさ。」 というわけで、この間と同じくばっちり無視をしてみた。が。 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポーーーーーン。 かなり悪質なインターホンの押し方だった。 けど、この押し方は・・・ 加賀だ。 助け船!!と思って、急いで玄関の鍵を開け、扉を開けた。 そこには、もう一度インターホンを押そうとしている加賀の姿があった。 「お。危ねーヤツだな。きのうもそうだったけど扉開ける前にコッチで誰だか確認しろよ。」 と言ってインターホンを指さす加賀を見ると、目の前が揺れた。 安心したのか、腰が抜けてしまったのだ。 「ど、どーしたんだよ!?」 辛うじて私を支えた加賀が言った。 「あー・・・風邪ひいちゃって・・・」 「熱は?って聞くまでもないな。」 そう言うと加賀は私をひょいっと抱き上げた。 いわゆるお姫さまだっこで・・・。 「ちょーーー・・・加賀!いいってば!!」 「よくねーだろ。立てねーくせに。いいからおとなしくする!熱上がるぜ!!」 熱上がる・・・ってあんたにだっこされてる時点で もうMAXまでいってるカンジよ。 そんなコトを考えてる私をよそに、加賀はふつーに廊下を歩き、 私の部屋へ着くと、ベッドに私を下ろした。 「ふー・・・重かった。」 「んな!?しつれーね!!女の子に向かって・・・!!」 顔を真っ赤にしながら、加賀を殴ろうとする私を見て、加賀は微笑んだ。 「嘘だよ。めちゃくちゃ軽かった。」 「・・・・・・・・・お、お世辞はいいよ・・・。」 いつもと違う加賀だったから、なんか、照れた。 「は!?何おまえ俺様がお世辞言ってると思ってんの!?」 「だ、だって・・・!」 「・・・もういい。 おまえ、メシはよ。きのう母親出張だって言ってたろ。」 加賀が言い切ったその時だった。 ぐぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・・・・・・・ 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」 長い沈黙。 「・・・ぶっ・・・はははは!!! なんでェ、おまえすんげぇ腹減ってんだろ!?」 「・・・・・・・・・。」 ぎゃーーーーー本気でハズカシーーーーー!!!!! 顔が最高に赤くなっていくのがわかる。 すると加賀は立ち上がった。 「よし、俺がメシを作ってやろう。」 「は!?」 その言葉を聞いて、私は目を丸くした。 加賀は、むっとなって、いつもの扇子を取り出し、開かずに私の顎をさした。 「なんだい? チャン。この俺が料理が出来ないと思ったか?」 「・・・・・・・・・・・・・・・・・うん。」 「・・・・っあ!なんだコイツせっかく俺様が作ってやろーと言ってるのに!! じゃあ、俺帰るな。」 そういうと、くるっとターンし、部屋を出ていこうとする。 私はせっかくの食べ物を逃したくない!と思い、叫んだ。 「まってまって!!加賀様まって!!!さっきのは嘘です!!すっごい嘘です!! だからどうか作ってやってください!!!!!」 ・・・本気で、頼んだ。 それだけお腹がすいていたのだ。 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」 加賀はしばらく考え込むと、口を開いた。 「・・・そんなに言うなら仕方ない。」 エラソーに言われたのでちょっとムッとした。 が、ココは食料のため。性に似合わず我慢した。 「ただし、条件がある。」 こんどは扇子を開いて、私を指した。 「・・・キスさせろ。」 ・・・はい?なんですと?? 熱のせいでうまく頭がまわりませんが・・・ キス?キスってアレでしょ?魚の・・・。 ・・・は!違うし!魚を当てはめたら日本語になってないし!! じゃあなに・・・。 気付いたら、顔が今まで以上に赤くなった。 「・・・いいな?」 キシ・・・ッとベッドが軋み、加賀の顔が近づいてくる。 「ちょ・・・ちょっとちょっと!!!!待って加賀様!!!! 風邪うつる・・・!!!!!」 なんか名残があったけど、気にせずに近づく加賀を制止しようとする。 けど、見事に効果がなかった。 熱のせいか、加賀の唇が、冷たく感じた。 「ん・・・」 角度を変えて、深い、長い、キス。 苦しくなって顔を歪めたと同時に、唇が離れた。 「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・・・・はー・・・」 胸を押さえて肩で呼吸する私を見て、加賀は立ち上がった。 「うっし。じゃあ、作るか!あ、おまえは寝てろよ。命令だからな。」 「は!?命令しないでよ!!」 「俺とキスしたヤツは俺に従うって言うきまりなんだよ。」 「なっ!!そんなきまり知らない!!!」 「それは知らないお前が悪い。台所借りるぜ。」 そう言って部屋から出ていった。 ・・・でも、知ってる。 クチは悪いけど、私のこと、心配してくれてる、というコトを。 あいつは、あーいう表現方法しか持ってないから・・・ ・・・なんだか、胸が熱くなった。 「・・・うー・・・よけい熱が上がって来るじゃない・・・」 体をベッドに倒した。 カチャ・・・ 扉の開く音がした。 「あ。わり、起こしちまったか。」 「・・・んー・・・平気・・・・・・」 どうやら横になった後、寝てしまったようだった。 寝ぼけ眼をこすりながら、加賀の持っているものを見た。 白いどろっとしたものから湯気が出ていて、頂上には赤い実がなっている。 ・・・おかゆだ。それも、梅干しつき。 「おいしそーー!!!」 スプーンを持ち、おかゆをすくい、口に運ぶ。 なんとも言えないおいしさが、体中に広がった。 「おいしー・・・あー・・・幸せだーーー・・・」 思わず頬が緩んでしまう。 お腹がすいていたので、すぐに食べ終えてしまった。 「・・・ごちそうさまでしたっ! 加賀すごいねー・・・。めちゃくちゃおいしかったよ!」 私がそう言うと、なんだか加賀は照れたようだった。 「おー。じゃあ俺そろそろ帰るわ。」 「んー・・・ってアレ?そいえば加賀は何しにきたの?」 「・・・あー・・・・・・・・・。」 「・・・ん?」 「・・・・・・母親いないっていうから・・・様子見に来たんだよ。」 顔がかーっと赤くなった。 私のはもちろん、・・・・・・・・・・・・加賀のまで。 なんか照れた加賀が面白くて、つい冗談を言ってみた。 「なぁんだぁ!てっきり私を襲いに来たのかと・・・」 ・・・それが間違いだった。 加賀は、その言葉を聞き逃さなかった。 「なんだよ。 チャン、襲ってほしかったのか?」 不敵の笑みを浮かべ、私に近づいてくる。 しかしここはベッドの上、しかも後ろは壁。 両耳の横に手を持ってこられ、逃げ場を失った。 「へー・・・そんなに言うなら望み通りにしてやろーか?」 加賀の顔が、近づいてくる。 「かぁ・・・、が!!風邪うつっちゃうよ!?」 「いーよ別に風邪くらい。」 全く動じず、私の首筋に口づけてくる。 「っあ・・・かぁがぁ・・・っ!!」 熱で少し赤みを帯びている肌に、さらに赤い花が咲く。 「っ・・・もぉ!!ちょっと・・・加賀ってば!!!」 「んだよ、うるせーなぁ」 「ぁ・・・ちょっ!!風邪うつる!!!」 「いいって言ってんだろ。」 「あーーーーーーーもーーーーーーーーー!!!!!」 何を言っても動じない加賀を見て、 私の熱は、しばらく下がりそうにない。 ・・・と思ったのでした。 風邪には、要注意。 -------------------------------------------------- 風邪ネタ萌え!(ぇ。) 風邪ネタ燃え!(ぇ。) もー・・・書いてて最高に楽しかったです。 いいね・・・大好き。こういうの。 時間かけた割には相変わらず駄作ですが、お気に入りなカンジ。 ・・・長くなったけど。微妙に続き物だけど。 微エロと言えない微エロが入ってたり、 お姫さまだっことか!! ちょっち脅されちゃうとか!!! あーもー・・・こーいうシチュエイション☆大好き!!(危ない。) だれか私にこんなのを恵んでやって下さい。(ぇ。) てか実際に起こって下さい。(ぉ。) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・で、では! ここまで読んで下さってどうもありがとうございました! 020408 * このままウィンドウを閉じて下さい * |