Happy Cupcake





「いやー!間に合わないっ!!」

こんなことなら、家庭科の授業を真面目に受けとくんだった。
こんなことなら、たまにはお母さんの手伝いをしておくんだった。

今日は1月7日。
私はカップケーキ作りの真っ最中。
でもこれがなかなか上手く行かない・・・
料理の本のタイトルは「簡単にできるお菓子50選」

・・・うそつき。

「おかーさーん!また焦げたぁ!!」
「もーなんなの。また温度設定間違えたんでしょ!
あーあー・・・こんな焦げようじゃ食べれないわねぇ。」
「うう・・・。」
「ホラ、どきなさい。お母さんがやったげるから。」
「や、やだやだっ!私がやるの!!」
「やだって言ったってそんなんじゃ夕飯いつまでたっても食べられないわよ?」
「夕飯なんかいらないっ」

現在の時刻は午後10時40分。
今日は1日焼いてるけど、全然出来ない。
ここまで料理が下手だったとは・・・

自分に愕然とする。

でも

明日は絶対渡したい。















「信じらんない信じらんない!!私のばかー!!」

カップケーキ作りは午前4時まで続いた。
お陰で今日は大寝坊。
ご飯を食べるなんて、とんでもない。
最低限の身だしなみだけ整えて、家を飛び出して、
学校へ向かった。

「もう始業式始まってるよー・・・」

慌てて靴を上履きに履き替え、体育館へ向かおうとする。
が。

「・・・加賀が体育館にいるわけないじゃん。」

そう思って向かった先は


屋上。




















今日は1月8日。

加賀の誕生日。





階段を上る足が弾む。
胸が踊る。





ねぇ、私頑張って作ったんだよ。
おいしいって言ってくれるかな?










屋上の扉の前。
上がる息を少し整え、ノブを握った。
そっと、扉を開ける。

そこに広がるのは、真っ青な空と、頬を刺す冷たい風。

「・・・さむっ」

慌ててきたからマフラーもコートもない。
走って汗をかいた身体には、ただでさえ冷たい冬の風はさらに冷たい。

「・・・加賀?いるんでしょ?」

・・・返事がない。
・・・・・・いないのかな。

いろいろ、探してみた。

・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・いた。

入り口の上。
タンクが置いてある、風除けには格好の場所。

「・・・・・・あれ?寝てるの?」

・・・真っ赤な髪。
風になびいて、綺麗。
少し香る、いつもは嫌な煙草の匂いも、今日はなんだか心地いい。

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

寝顔もいつもの目つきの悪い表情と違って可愛くて、しゃがんで髪を撫でてみる。

「・・・サラサラだー・・・。」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・、ぱんつ見えてんぞ。」
「・・・は?」

気がついた時には加賀の鋭い目はぱっちり開いていた。
ぱんつまるみえ。
それもそのはず。
加賀の顔の横にしゃがんでるんだから。

「っ何見てんのよ、変態!!」

思わず頭をひっぱたく。

「・・・いってぇ・・・・・・・んだよ、そんな見える位置にしゃがんでんのが悪ぃんだろ。」
「見る方が悪いんですー。セークーハーラー。」

気怠そうに起きる彼に向かって言ってやった。
そして、加賀はちょっとぼさぼさになった髪をかき上げて、言った。

「・・・あ?始業式出ねぇの?」
「あんたのせいで寝坊して出れなかったわよ。」
「優等生もやるじゃん。」
「うっさいなぁ。」
「でも、俺様のせいで・・・っていうのは聞き捨てならねぇな。」

・・・絶対何か企んでる。
顔がそう言い放ってるもの。
でもあんなに一生懸命作ったから、隠すのも嫌だったので、出した。

「はい。」
「・・・なんだ、コレ。」
「カップケーキ。」
「・・・・・・・・・俺、甘いもん嫌いなんだけど。」
「はぁ!?」

何こいつ。
私が寝坊までして一生懸命作ったカップケーキを一瞬で否定したわね!?

「〜〜〜〜もう加賀なんか知らないっ!
いいよ、私一人で食べるから・・・っ」

泣く気なんて全然なかったけどさ、
やっぱ好きな人に一生懸命作った物を否定されたら・・・

「・・・・・・・・・・・・」

泣かないわけにはいかなかったみたい。

「・・・・・・・・・・・・・」

涙が風に当たって冷たい。
このタンク、風向きによってはちっとも風除けになんかならないじゃない。

・・・・・・カサ・・・・

ビニールの音がした。

滲む目を擦って、見た。





加賀が、食べてくれたんです。





「・・・か、加賀、無理して食べなくても・・・」
「ふふへーほ。ほはへはふふっはほほはへふふはへはひほひはふははひふはほ!」
「・・・・・・何言ってるかわかんないから、全部のみこんでからでいいよ。」

・・・・・・加賀が食べてる間暇だから、私も食べようとしたんだけど
加賀がくれなかった。

「・・・っ食うなよ。」
「なんでよー。私が作ったんだから自由でしょ。」
「自由じゃねぇよ。」
「何でよ・・・・」





こいつはいっつもそうだ。





言い合いになりそうな時





いっつもこうやって誤魔化す。










「・・・甘い。」
「カップケーキ食ったからな。」
「・・・私砂糖入れすぎた?」
「ちょっとな。でも今みたく口直しするから平気だよ。」
「・・・強制わいせつ罪で訴えるよ?」
「スキンシップだろ。」
「ばか。」
もな。」

ええ。ばかですとも。

こうやって優しくされたくらいで損なった機嫌がすぐよくなっちゃうくらい
私はあなたがばかみたいに好きですよ。

「・・・さっきなんて言ったの?」
「・・・・・・うるせーよ。お前が作った物は全部食べないと気が済まないんだよ。」
「・・・・・・ふーん・・・」

また泣きそう。
嬉しい。嬉しい。嬉しい。

「何泣きそうになってんだよ。」
「・・・うるさいなぁっ・・・しょうがないでしょ・・・・嬉しいんだもん・・・っ」

今度は、抱きしめられた。
・・・あったかい。

「・・・・・・嬉しいのはこっちだぜ。」
「・・・そうなの?」
「あたりめぇだろ。」
「ふーん・・・・」

ちょっと照れたような加賀が、なんか新鮮だった。










「お誕生日、おめでと。」

「さんきゅ。」














fine.

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何とかギリギリで間に合いました・・・!!
久々の加賀です。誕生日物です。
甘過ぎです。でろーん。(ハ?

でも久々の加賀は楽しかったです。
今日のアニメは加賀の誕生日を狙って出てきたと思う今日この頃。

030108

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