triangle









「私も、手塚くんが、好きなの・・・・」





外は真っ暗で、もうほとんどの生徒が下校した校舎に声が響きそうなくらい、静かだった。

「・・・それは、本当か・・・?」
「うん。ホント。」
「・・・そうか・・・。」

心なしか、手塚の顔がちょっと、笑顔になった気がした。

「さ、さあ帰ろうっ!もう遅いから・・・」
「・・・ああ。」










校舎を出ると、昼間と違って少し涼しかった。
さっきの火照りが冷まされるようで、心地よかった。

「・・・あれ?」

不二が校門のそばに立っていた。

「不二くん・・・」

・・・すっかり不二のことを忘れていた。
不二は、自分のことを想っていてくれた。
でも、自分は、手塚が好きで・・・

不二に、謝らなきゃいけないと、思った。

「ふ、不二くん・・・」
「いいよ、その先は言わなくて。」
「・・・え?」
「知ってたから。」
「・・・?」
のことなんか、お見通し。
本人も知らなかったよね、きっと。」
「・・・よくわかんないんだけど・・・」

相変わらずのんきにハテナマークを飛ばしているを見て、不二は笑った。

「クス・・・やっぱり可愛いね。」

すると、ちょっと悔しそうな笑顔になり、言った。





は、手塚といるときが一番楽しそうだったよ。」





「それに気づいたときは、悔しかったなぁ・・・
そこでなんとかできれば全然平気だったけど、
の気持ちは僕にはどうすることもできないから・・・」

「不二くん・・・」

「・・・さ、由美子姉さんが迎えに来てくれるらしいんだ。
ふたりは早く帰りなよ。」

「・・・・・・・・・」

「・・・?」



「・・・ごめんね・・・」

「・・・・・・・・」



「・・・・ありがとう・・・」



「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



すると・・・



「周助!」
「あ、姉さん。
・・・じゃあ、そろそろ帰るね。」

車に乗り込もうとしたが、不二は何かを思いだしたかのようにいったん止まり
手塚にそっと話しかけた。










「・・・もしを辛い目に遭わせたら、僕がもらっちゃうからね。」










笑顔なのに、いつになく冷たい瞳だった。
手塚は背筋の凍るような思いとは、こういうことなんだ、と思った。

「それじゃあ、また明日。」
「・・・うん。明日ねっ。」

そういうと、ばたんとドアを閉め、車は行ってしまった。










「さあ私たちも帰ろ・・・・・・う?」

後ろから、手塚に抱きしめられた。

「てててててててて手塚君!?ななななななな・・・!!」





「・・・・・・・・・遠慮はするな。」





「へ?」





抱きしめる力が強くなる。





「・・・言いたいことがあったら、ちゃんと言え。」










「・・・言わなかったらグラウンド10周だ。」










手塚の鼓動が伝わってきた。










「・・・うん。わかった。
・・・その変わり、手塚くんもね。」
「・・・ああ。」





自分をを抱きしめている手塚の腕に手を添えて、が言った。





「それじゃあ、さっそくいい?」
「・・・なんだ?」
「・・・へへへーー・・・」
「・・・早く言え。」















手、つなご?















月明かりの照らす中、





二つの影は、





長く伸びた手の先で、










一つに繋がっていた。









fine.

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分岐手塚ver.でした!
ど、どうでしょう。
てか手塚がメインのクセして、セリフの量は不二がピカイチ・・・!
す、すいません・・・
どうしてもおしゃべりな手塚ってイメージになくて・・・!
おまけに最後は何故か妙に積極的ですね・・・!
す、スイマセン・・・!

では、ココまで読んで下さってありがとうございました。
次はもっとしっかりしたモノが書けるよう、頑張ります・・・

020803

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