すきなヒト






ずっと遠いヒトだと思ってた。





手の届かない人だと思ってた。













ここは日本棋院。
は、院生である。
1ヶ月前に入り、今日から1組・・・と、その腕はなかなかのものなのだが、
内気でなかなかまわりにとけ込めないでいた。

「はぁ・・・今日から1組・・・き、緊張してきた・・・。
だ・・・だって・・・あのヒトがいるんだよ・・・。1組には・・・。
そ、それに強いヒトだっていっぱいいるだろうし・・・。てかいるし・・・。」

ひとり、研修室へ向かうエレベーターの中でなにかブツブツ言いながら行ったり来たりしている。
すると・・・

「・・・君、なにやってるの?」

はっとなる
そう、なんだかんだ考えているうちに、研修室のある6階に着き、扉が開いたのだ。
さらに、話しかけてきた男の子は・・・

(・・・あのヒトだ・・・・・・う・・・うそでしょ???)
「・・・?」
(で、でもこれはチャンスかもしれないっ。名前、聞いといたほうがいいよね・・。)
「あ・・・あの!」

ガー・・・・

が意を決して言おうとした瞬間、エレベーターの扉は閉じてしまった。
はあまりにも突然の出来事でエレベーターから出るコトも忘れてしまっていたのだ。
思わず床に座り込む。

「あぁ〜・・・わたしのバカぁ・・・せっかくのチャンスだったのに・・・」

変なことをやっていた上に、エレベーターから出るのを忘れた
という、まぬけな姿を好きなヒトに見られたショックは大きい。
一方、その男の子はエレベーターの前で唖然としていた。

「・・・なんだ・・・アイツ。・・・・・・おもしれーヤツ。」



一階へ戻ってきた

「ああ・・・また行かなくちゃ。」

すると、ひとりの男の子が入ってきた。
前髪が黄色で、後ろが真っ黒、という不思議な髪型をした男の子だ。
男の子は不思議そうにを見る。

「下りないの?」
「えっ!あっ!あっ!・・・う、ん。」
「ふーん・・・」
(や、やっぱり変に思われちゃったかな。そ、そりゃそうだよね。
 下りてきたのに出てかないもんね・・・。
 はずかしー・・・。)

顔を真っ赤に染めて、目を固く閉じる
その姿を一緒に乗っている男の子はじっと見つめていた。

ポーン。

エレベーターは研修室のある6階に到着した。
と男の子はエレベーターから出る。
するとまた、さっきのあの人がコチラにきづいたようだった。

「よー、進藤。」
「和谷。おはよー。」

その会話をは聞き逃さなかった。

(ワヤさん・・・って言うのかぁ・・・)

その進藤と呼ばれる男の子と和谷が楽しそうに会話をしているのを見つめる。

(・・・かっこいいなぁ・・・色んな方向にはねてる髪・・・やわらかそう・・・
 あ・・・今日は迷彩柄だ。好きだよねぇ。・・・似合ってる・・・。)

すると和谷は視線に気がついたのかに話しかけてくる。

「君、さっきの子だよね。」
(へ!?)
「あ・・・は・はぃっ!」

思わず声が裏返る。

「たしか・・・2組の・・・さん!でしょ?」
(な・・・なんで名前知ってるんだろう・・・う・うそみたい・・・)

大好きなヒトに自分の名前を呼ばれ、有頂天になる。
真っ赤になってうつむいているを見て、和谷も思わず赤くなる。
「・・・違ったっけ??」
「やっ!違います!!違います!!あってます!!!」
「そっか、よかった。間違ってたらどうしようとか焦ったよ。」
「す、すいません・・・。」

赤くなったり青くなったり、くるくるかわる表情に和谷もなにか惹かれた。

「あ・・・でも。わたし、今日から、あの・・・1組なんです。」
「・・・へー!おめでとう!じゃあ今日から俺たちの仲間だな♪」
「あ、ありがとうございます・・・。」
「俺、和谷義高。よろしくな。。」
「オレは、進藤ヒカル!オレも1組なんだぜ!」
「よ、よろしくおねがいします・・・。」

なんだか良いムードに思わず笑顔がこぼれる
その笑顔に和谷とヒカルはドキッとする。

((・・・ちょっとかわいいかもしれない・・・))

「じゃ、行こうか。」
「は、はい。」

慌てて和谷達についていく

(うそみたいうそみたい。あの憧れの和谷さんと話せるなんて・・・)

研修室に入ると、ひとりの女の子が話しかけてきた。

「おはよー。あれ。この子は?」
「あ・・・えと、今日から1組になりましたです。よろしくおねがいします。」
「へー。私は、奈瀬明日美!よろしくね。」

なんか、1組って2組に比べてアットホームかもしれない・・・と思った瞬間だった。



それから毎回研修のある日は棋院へ向かい、碁を打ち、和谷達と楽しく会話をする

「「ありがとうございました。」」
「あ、ちゃん終わった??ね、和谷と進藤の対局見に行かない??」
「あ・・・は、はい。」

和谷とヒカルの対局は、ほぼ終盤に差し掛かっていた。

「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

パチッ

(和谷さん・・・今のトコ優勢だ・・・)

チラッと和谷を見ると、その表情は真剣そのもの。

(真剣で・・・かっこいいなぁ・・・・・・やっぱり・・・好き・・・)

が和谷に惚れた理由のひとつ、碁を打っているときの和谷の真剣な表情が間近で見られて、
友達もたくさんできて、楽しい毎日を送っていた。
そんなある日だった。
急いで荷物置き場へ向かう

「手帳忘れちゃった・・・中見られたらやばいよー・・・」

の手帳の中には大好きな、和谷の写真が入っているのだ。

「でさー、そのあと和谷にこう、鋭くこられてー・・・」

まだ研修室のとなりの荷物置き場兼休憩室に残っていた和谷、ヒカル、奈瀬が話をしていた。

「あーっ!悔しい!!次こそは和谷に勝ってやるー!!」
「ま、頑張れ。」
「なんだと!?」
「あははっ。でも、進藤もなかなか上手くなったんじゃない??」
楽しそうに会話を弾ませる3人。

(・・・あ・・・手帳・・・!)

の手帳はヒカルが寄りかかっているテーブルの上にあった。

「そーいえばさ、ちゃん。最近すっごい上達してると思わない??」
「そうだよなー。一気に順位も上げてきたしなぁ。」
「オレなんか、この間ちょっと危なかったぜー。」

思わず目の前が霞む。

(嬉しい・・・すっごい嬉しいよ・・・??
 奈瀬さんが、進藤くんが、・・・和谷さんがそんなコト言ってくれるなんて・・・。)

「それにさ、なんかすごく恋する乙女って感じがするわ。」

その言葉を聞いて、一瞬固まると和谷とヒカル。

(え・・・)
「「・・・恋・・・って・・・。」」
「・・・やぁねぇ、何ハモってんのよ。
 あ。さてはふたりとも、ちゃんに気があるとか〜??」
(・・・!?・・・な、奈瀬さんなんてコト・・・!!)

少し意地悪っぽく、ふたりを突っつく奈瀬。

「「ち、ちげーよ!」」

またハモるふたり。顔は当然のごとく真っ赤だ。

「ほんとかなぁ〜???」

嬉しそうにふたりをからかう奈瀬。
話題をそらそうと、ヒカルがまわりを見回すと・・・

「あれ?こんなトコロに手帳がある・・・」
(!!!!)

デニムのシンプルなシステム手帳。

「誰のだろう。」
(う、うそ!!ちょっとまっ・・・!!)

開けようとするヒカル。
その瞬間・・・。

「あっ!それちゃんの・・・」
「まって!!!」

奈瀬と、同時に叫んだが、
・・・・・・・・・・・・・・・遅かった。

ちゃん・・・」

手帳は広げられ、そこには和谷の写真が入っていた。

「「「「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」」」」

沈黙が走る。
が、それを破ったのは和谷とヒカルだった。

「「・・・マジかよ・・・」」

ビクッとその言葉に反応する

(も・・・・・・もう・・・だめだ・・・・・・・・・)

だんだん目の前が霞んできた。
そして、雫が、ぽた・・・っと足下に落ちる。

「・・・ちゃん?」
「・・・さ・・・よならっ!」

耐えきれなくてエレベーターへ駆け出す
それをあわてて追いかける和谷。
ちょうどエレベーターが来た。
急いで入り、扉を閉じようとしたとき・・・

ガッ!!

「!?」

閉じかけた扉をねじ開けて、和谷が中に入ってきた。

「わ・・・和谷さん!!」

あわてて扉の開くボタンを押す

「はー・・・」

ひとり息切れしている和谷に対して、は真っ赤な顔をしてうつむいている。
すると和谷はを睨みつけて・・・

「なんで逃げんだよ。」

ビクッと怯える

「だ・・・って・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

もう目の前が霞んで、喉が詰まって、なにも言えない。

「・・・逃げる必要なんて、ない。」

碁を打つときのように、真剣な瞳でを見つめる。
そして、の頬に手を添えて、軽く口付ける。

「ん・・・」

唇が離れるとそっと、抱きしめる。

「・・・が好きだ。」

その言葉を聞き、和谷の胸に顔を押しつけていたが思いっきり上を向く。

「・・・嘘!」
「なんでそう思うんだ?」
「・・・わたしなんか・・・暗いし・・・奈瀬さんみたいに美人じゃない。
 魅力なんて、なにも、ない・・・。」

また潤んでくる瞳を隠すように、俯く
和谷は、その今にも壊れそうな小さく、細いカラダをさらに強く抱きしめる。

「魅力がないなんて嘘だ。
 碁を打ってるときの真剣な姿も、奈瀬と話してるときの楽しそうな姿も、
 こうやって、泣いている姿も、・・・全部かわいい。
 ちょっと人見知りするところも、ちょっと負けず嫌いなところも、
 優しいところも、・・・全部好きだ。」

それを言うと、和谷は照れてそっぽを向いてしまう。

「・・・・・・本当に?」
「・・・本当に。」
「・・・・・・ホントにホント?」
「ホントにホント。」

カラダ中がカーっと熱くなるのがわかる。

「・・・和谷さん・・・」
「義高。」
「・・・・・・よ・・・義高・・・くん・・・
 わたし・・・」





ずっと遠いヒトだと思ってた。





手の届かない人だと思ってた。





でも、違ったんだね。






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めちゃくちゃへっぽこで申し訳ないです・・・
夢処女作は絶対和谷くん!とか決めてたんですが、
似非すぎてどうしようもないです・・・;
ごめんなさい。
てか奈瀬がヒカルのことをなんて呼んでいるかわからなかったので
苗字にしてみましたが・・・どうなんでしょう・・・
間違ってたら指摘してやって下さい。(ペコリ
かなり修正したりしたんですけどね・・・めちゃくちゃ矛盾してますよ。
とりあえずキャラ違いすぎます。
ホントに謝るしかないです・・・
でも、ココまで読んで下さってどうもありがとうございましたっ。
次はもっと良いのを書けるよう努力します〜(逃)

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